【ペーパーウェル13】裏話1. 表紙没案博覧会

この裏話では、小説「国立書籍博物館学芸員の繁雑な日常」の表紙ができるまでの過程を「没案」と一緒に掲載


完成形に至るまでの変化をお楽しみいただけます。
※作者はデザインに関してはド素人です。本記事の中で語られている没案の没理由は、あくまでも作者の主観がメインの感想となります。
何かいい同人誌&初心者向けのデザイン教材があったら、ぜひ教えてやってください。勉強したい……。


▼表紙のコンセプトや制作ツール等

表紙完成の過程を掲載する前に、表紙を制作する際に決めていたコンセプトや使用した制作ツールについてご紹介

こうしたコンセプト等を用いて、本表紙は完成しました。


●表紙のコンセプト 

 博物館の展示会場に飾られている注意書きのような表紙
 (物語最後のオチと関連性を感じるようにさせたいため)


使用した制作ツール

 Canva


Special Thanks(デザインアドバイス)

 知絵(漫画家&イラストレーター/みちなり文庫看板作『Herec』のイラスト担当)


▼表紙没案コーナー

1. 初期案

当初イメージしていた表紙デザイン。

「博物館の展示会場に飾られている注意書きのような表紙」という、最初のコンセプトに力をいれて制作したものとなります。

Canvaにて「本」「紹介」の2単語で検索をかけ、目にしたテンプレートをモデルに制作。

表紙っぽさをなくし、注意書きらしさを強くするために文字を多めにしてみたのですが、全体的にどこに視点を定めればいいかわからず目が滑ってしまうタイトルや真ん中のテキストの余白に違和感が拭えず、没となりました。

なお、この時、本当はタイトル部分にはまったく違うテキストが書いてあったのですが、後に再考したタイトルを打ち込んだ際に間違えてデータを上書きしてしまい、古いデータの方を失くしてしまいました。

やっちまったな……。


2. アドバイスをもらって作り直した表紙案×2

創作仲間であり、本業漫画家&イラストレーターの知絵さんにアドバイスをもらい、直した表紙達です。

知絵さんいわく「右の余白をなくすのにタイトルを右に持っていく」「真ん中のテキストは各項目内で改行するのは勧めない」「もしくは画像が左向きなので、それを右向きに反転させて右において、文字群を左側に統一させる」と綺麗に見えるかもしれないと。


そうしてアドバイスを基に作り直した結果が、上記の2枚です。


確かにタイトルを右に持っていくと、余白の違和感が減った感じがしました。

2枚目の方も文字群の居場所が統一されているので、目で内容を追いやすい。本業のアドバイス凄い……。


しかし、1枚目は余白への違和感が減ったのは確かだけど、全体的に右にものが集まっている印象があるのに、画像が左向きなので違和感がある


2枚目も文章の位置がまとまったことでスッキリしてるからか、パッと見、テキストよりもカラーの絵の方に目が行ってしまう

これだと周りのテキストが雑音で逆に邪魔くさい印象があるし、絵に目が行ってほしいわけではないので視線誘導が失敗している。


……と感じたので、敢えなくこちらも没になりました。


ちなみに。


右にテキストを寄せる版は、文末を右寄せにするパターンも作ってみたのですが……、

一目見て「めちゃくちゃバランス悪いな」と思ったので、一瞬で没になりました。
完。


3.絵と文字の配置を大きく変えてみた表紙案

さて、さっき言った知絵さんからいただいたアドバイスで、実は使っていなかったものが1つあります。


それが「真ん中に絵を持ってくる」というアドバイス。

いわく、「そうすると統一感が出やすいし、表紙っぽくもなる」とのこと。


「確かに真ん中一直線で物を揃えたら統一感があって見やすいかもしれない。でも表紙っぽくなるのは、コンセプトに沿わないんだよなぁ」という迷いから、最初の修正時には外したアドバイスとなっていました。


とはいえ、実際にやってみたら想像とは違う印象を抱くかもしれない。

という事で、一度絵を真ん中に持ってきてみる事に。


すると、どうでしょう。確かに真ん中に物が集まっていて統一感がある

絵がドンと真ん中に来ちゃったけど、テキストを読みやすくするのに少し薄くしてみたので、いうほど気にならない


「お?この方向、ありでは?」と、予想外の結果に希望の芽吹きを感じちゃいました。


しいて問題をあげるなら、背景がカラーすぎて真ん中のテキストが読みにくいという点。

ちょっと画面がごちゃっとしてしまっているので、そこだけ修正できないかとこねくり回す事にしました。


6. 完成形

こうして色々こねくり回した結果生まれたのが、この完成形です。

懸念点となっていた真ん中のイラストは色味が少なく、背景物がないシンプルなものに変更

また、テキストと注意書きマークの位置を変更

こうする事で、記号と絵が同じ画面に入り、上下をテキストで挟むオセロのような統一感が作り出せたので、全体的なバランスもよくなった……ように見える。


マークを上に持ってきたもう1つの理由としては、「この表紙で見てほしいのはどこか(タイトルを除き)」を考えた時、「『本書類の読み方』は後回しにしてもよいのではないか」という結論にいたりました。


このテキストは、あくまでも注意書きらしさを演出&折本を作った事がない方にも読み方がわかるようにオマケとしてつけた要素だったので、それなら下の方にごぢんまりと書いてあっても問題がないように思った次第です。


そんなわけでテキストとマークの位置を交換。これまでの表紙案とは思いっきり図案が変わってしまいましたが、一番見てほしいところに目が行く表紙になったような気がしています。


全然違う事をする事で見えてくるものもあるんだなぁ、と思いました。


なお、試し刷りを行った際に「本書類の読み方」の内容をもう少し詳しくした方がわかりやすいなと思った為、1の内容だけ変更してあります。
テキストの内容が他と少し違うのは、これが理由。


▼次回の裏話

みちなり文庫

フリーライター・物書きである勝哉道花の活動拠点。 仕事や小説に関するお知らせが多めです。 お仕事のご依頼はTwitter(X)のDMにて受付中。 Twitterアカウントはプロフィールページに掲載。

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